「ms_edit」は、ベーシックな文字列編集機能を持つテキストエディタに、正規表現対応の検索・置換機能などが追加されたソフト。カーソル位置の履歴を使ったジャンプや行番号指定のジャンプなど、比較的大きなファイルを扱うときに便利な機能も備える。対応する文字コードはShift JIS/EUC/UTF-8/Unicode/Unicode Big-Endian。ファイルを開く際に文字コードを自動判別させたり、文字コードを変換して、再読み込みしたりすることも可能だ。

メイン画面はSDI（シングルドキュメント）形式。エディタ自体を複数起動することが可能で、同時にいくつものテキストファイルを開いて編集できる。画面上部にはルーラ、左端には行番号が表示され、編集中の桁位置・行位置を確認できるほか、ステータスバーにも行および桁位置やファイルの総文字数が表示される。さらに、

• 【Tab】キーや空白文字によるインデント（字下げ）位置を記憶し、改行のたびに行頭の位置を揃えてくれるオートインデント
• カーソル（挿入ポインタ）があった行位置を記憶し、即座にその行へ移動できる「カーソルを戻す」「カーソルを進ませる」

ソフトの大きな特徴といえるのが文字列の検索・置換機能。Perl5互換の正規表現を使用することができ、正規表現に慣れたユーザであれば、パターンマッチングを駆使してスマートな検索・置換作業を行えるようになっている。オプションで、開始位置（カーソル位置から/先頭から）の選択や大文字/小文字の区別を指定することも可能だ。

ナンバリング機能もユニーク。ナンバリング機能を使うと、文書中に入力した「%%」という文字列を自動的に0からの連番に置き換えてくれる。見出しや箇条書きなどに効率的に番号を振りたいときに役立つ。

しかし、その一方で正規表現対応の文字列検索・置換やSQL文の生成といった、ビギナーにはちょっと縁遠いであろう機能も搭載しているのが「ms_edit」のおもしろいところ。メタ文字を直接、入力する必要があるため、「これから地道にテストしながら正規表現を学んでいきたい」という人にお勧めしたい。

もっと一般的なユーザには、むしろナンバリング機能がお勧めだ。いってみれば「用途を特化した文字列置換機能」だが、法令や規約のように項目番号がたくさん振られた文書を扱う際、特に推敲や編集段階で項目の入れ替えなどが頻繁に起こることが想定されるときなどに、大いに活躍してくれそうだ。

開発中に苦労した点
苦労したといえば、検索・置換ダイアログの作成でしょうか？　Delphi 2010で開発しているのですが、できるだけ機能を部品化しようと、コンポーネントとして新規に作りました。現在はエディタっぽく行番号とカラムの表示できるように、コンポーネントを作成している途中です。国内でエディタ向けのコンポーネントは結構見かけますが、みな有償なので、仕方なく自作中です。

ユーザにお勧めする使い方
まだパターンが少ないですが、SQL展開機能はC#開発には便利ですので、使ってみていただきたいです。あと、Perl互換の正規表現による置換はかなり強力ですので、これを機会に正規表現を覚えてみるのもよいのではないでしょうか？

今後のバージョンアップ予定
いま作っているバージョンでは、行番号カラム表示とヒストリー機能を強化中です。まだ自作コンポーネント側のバグが直らないので、なかなか公開できずにいますが、近いうちに公開したいです。

個人的な抱負
別に私は「WZエディタ」とか「秀丸エディタ」のような万能エディタ作るつもりはありません。できるだけ「メモ帳」の感覚を残しつつ、それでいて作業が捗るエディタを目指します。