コミカルとシリアスが絶妙に入り交じった、良質な短編RPG。勇者を返り討ちにするために単身、魔王城から出陣し、人間に憑依・洗脳しながら奮闘する魔王の姿が描かれる。歴代魔王のなし得なかった勇者抹殺を実現するため、第13代魔王は単身出陣する
「革命魔王」は、「歴代魔王の愚かさと不甲斐なさに怒りを覚えた13代目の魔王が勇者を倒すために活躍する」という設定の、魔王を主人公にしたユニークなRPG。ストーリーは基本的に魔王の視点で描かれるが、場面によっては勇者側の視点になり、状況による視点切り替えで物語に膨らみを持たせている。主人公をはじめとしたメインキャラはもちろん、脇キャラや雑魚キャラにいたるまで細かな遊びが用意され、やり込み要素も十分にある。
物語は、魔王と勇者たちの最終決戦の場面からはじまる──実はこの場面、主人公の第13代魔王「カオス」が前代魔王から託された「魔王録」の1シーン。「魔王録」を読んだカオスは、「勇者を返り討ちにした魔王がいまだ存在しない」ことに怒りを覚え、自らの手で勇者を叩きつぶす決断を下す。しかも、Lvの上がった勇者が魔王城に乗り込んでくるのを悠然と待つのではなく、自ら出陣して、まだLvの低いうちにその芽を摘んでしまうという、歴代魔王の常識を覆したやり方で。この出陣により、カオスはのちに「革命魔王」と呼ばれるようになる……。
カオスには憑依と洗脳の能力があり、戦闘で倒した相手のうち一人を選んで憑依し、それ以外のメンバーを洗脳して、思い通りに操ることができる。こうして人間のふりをしながら情報を収集し、次々と勇者候補を見つけ出しては抹殺してゆく。
攻撃や攻撃スキルを連続ヒットさせることで、敵に与えるダメージを増加させよう
戦闘システムには独特のコンボシステムが搭載され、通常のバトルよりもスピーディに敵にダメージを与えることが可能。戦闘モードでは、通常攻撃と攻撃系スキルの2種類の手段で敵にダメージを与えることができ、画面右端にヒット数が表示される。連続してダメージを与えることに成功すると「コンボ」となり、ヒット数が加算されて、敵に与えるダメージが増加する。攻撃をどんどん繋げてヒット数(コンボ数)を増やすことで、単発で攻撃を繰り出したときよりも効率よく敵にダメージを与えられる。
攻撃系のスキルの中には1回の攻撃で2ヒット、3ヒットするものもあり、コンボ数を増やすのに都合がよい。ある程度コンボ数がたまったところで強力なスキルを叩き込むことで、大きなダメージを与えることが可能だ。
コンボは、パーティのメンバーやターンをまたいで繋いでいくことができる。ただし、メンバーの誰かが攻撃または攻撃スキル以外の行動を取ると、そこで途切れてしまう。敵に攻撃を挟まれた場合も途切れることがある。
主役から脇役、雑魚キャラまで、すべてのキャラが個性的に生き生きと描かれる
魔物、人間、天使と、それぞれの世界のキャラが生き生きと描かれているのも「革命魔王」の特徴のひとつ。魔界の代表はなんといっても魔王「カオス」。ゲーム開始時点では能力がかなり限定されているが、戦闘を繰り返すことで少しずつ能力が覚醒してゆく。1ヵ月後の皆既日食で完全覚醒し、人間界を滅ぼすことのできる本来の力を取り戻す。魔王の側近で、幻術を得意とするアンデッド系モンスター「リッチ」も忘れてはならない魔界のキャラだ。
物語のもうひとりの主人公は人間の「アルシェス」。アルシェスは、勇者となることを目指して魔王城へ旅立つが、敗北してノースの村に逃げ帰ってきたところを魔王に襲われる。アルシェスのパーティのメンバーで、ランサーの「バジル」、メイジの「ヒルダ」、クレリックの「グロリア」は、常にアルシェスと行動をともにし、運命もともにする。アルシェスの命の恩人で、勇者の本命と見なされる「グレイス」も、登場場面こそ少ないが、重要なキャラだ。
天上界の代表は女神「セラフィム」。人間界が魔王の手で滅ぼされないよう、勇者候補に試練を与える。試練を突破した勇者に魔王を倒す武器「勇者の剣」を与えるなど、すべてを裏から支配する存在だ。
そのほかにも、魔王城のモンスターや村人、アルシェスたちの友人など、多くの登場人物が個性的なセリフで物語に彩りを与えている。