「Back to XP」は、“Vistaを極限までXPに近づける!”という謳い文句の通り、デスクトップ、エクスプローラ、スタートメニュー、アイコンなど、Windows Vistaでメインとなる画面のデザインを変更し、外観・操作性をWindows XPに大幅に近づけてくれるソフト。これまでWindows XPを使用していたユーザであっても、抵抗なくWindows Vistaを使いはじめることができる。外観が変更されるのは、タスクバーのデザインやウィンドウ枠のデザイン、色使い、デスクトップアイコンのサイズなど。

変更できるのは外観だけではない。例えば、Windows Vistaのスタートメニューは、標準状態ではWindows XPのようにサブメニューがカスケード状に展開されるのではなく、最初に開かれたメニューサイズが変わらないままで使うようになっているが、このメニューの動作もWindows XPのものと同様にすることができる。また、エクスプローラ（フォルダウィンドウ）やInternet Explorerは、Vistaでは通常、メニューバーが表示されないが、これらもXPと同じようにメニューが常時表示されるようにできる。コントロールパネルはWindows Vistaで大きく変更された画面のひとつだが、Windows XPで「クラシック」を指定したときと同様の表示になる。

Windows Vistaで加わった新機能や動作も、簡単な設定でWindows XPと同じようにすることが可能。デスクトップ画面上に表示されるWindows Vistaのサイドバーを無効にできるほか、サイドバー内やデスクトップの任意の場所に表示されるサイドバーガジェットも非表示に設定することが可能だ。

（セキュリティを低下させるため非推奨扱いとはなっているが）Windows Vistaの最大の特徴である「ユーザーアカウント制御（UAC）」の無効化、Internet Explorer 7のセキュリティ強化機能である「情報バー」表示の無効化、IE 7の新機能「タブブラウズ」機能の無効化なども行える。

設定や機能は、項目ごとに自由にON/OFFを選択することが可能。例えば「画面表示テーマとして『Windowsクラシック』は使わずにVistaの『Aero』テーマは使うが、それ以外はWindows XP同様にする」といった使い方ができる。

それはともかくとして、登場当初のWindows XPやWindows Vistaがなかなか受け入れられない理由を考えてみると、やはりそれまでのOSとは外観や操作が大きく変化している点が大きいのではないだろうか。過去の例でいえば、Windows 95から98へ、あるいは98から2000への移行が意外にあっさりと進んだのは、操作性がほとんど変わらず、違和感がなかったことが大きいと思う。

これに対してWindows XPやVistaは、それ以前に比べると外観が大きく変化している。考えてみれば、Windows XPのときには「クラシック」デザインを用いることでそれまでのWindows 2000と外観を大きく変えないようにして使っていた人もかなり多かった。「Back to XP」は、まさにこれと同じことをXPとVistaの間で実現する。Vistaに詳しい人であればわかるとは思うが、「Back to XP」で実現される変更は、そのほとんどがVistaに標準搭載される設定を変えることで行える。しかしVistaでは、そうした設定があちこちに分散しており、すべてを一括して変更するのはなかなかに骨が折れる作業だ。

「Back to XP」は、ひと言でいえばこうした設定を一括して行うユーティリティだが、それでも、ほぼワンタッチでVistaがXP風に変化するのは便利だ。同じ操作性で両方のOSを使ってみれば、Vistaが変化した部分もよりよくわかるようになるかもしれない。

メニューバーはどこ？　ソフトを起動するのにスクロールが必要なの？　デスクトップアイコンが大きすぎる、ソフトを起動するたびに画面が真っ暗になる……。そんな声にお応えして「Back to XP」がVistaを可能な限り、XP以前に近づけます。また、デフラグやスタートアップ設定など、OS付属のパソコン快適化ツールをワンクリックで呼び出せる便利機能も搭載しています。

何かと賛否両論のあるVistaですが、当然よい面もあります。「Back to XP」を使えば、Vistaの性能の高さとXP以前の使い勝手の“いいとこ取り”が可能となります。