ソフトを開発しようと思った動機、背景
私は、インターネットが普及する前のパソコン通信・BBS時代からの古株のネットワーカーでしたが、当時から多くのオンラインソフトウェアのお世話になっていました。いつかは自分もオンラインソフトを開発・公開してみたいと考えていましたが、会社に入社したのをきっかけに、勉強も兼ねて挑戦してみました。Webページの更新に特化したFTPクライアントとなったのは、当時、私自身がホームページを立ち上げ、最も使う頻度の高い部類のツールだったからです。開発中に苦労した点
最初の版を公開した1997年当時、個人での常時接続は夢の世界で、ISDN/モデムによるダイヤルアップ接続が一般的でした。結果、自分の部屋にデバッグ用UNIXサーバを立ち上げての検証となりました。いまとなってはよい思い出です。また、安定したソフトを公開したいという思いから、検証・デバッグには時間を費やしました。
ユーザにお勧めする使い方
ワンクリックで転送できる、Webページ更新の自動化を狙ったソフトウェアです。使い方は工夫次第ですが、複数のWebサイトを管理している人、多くの階層で階層別にコンテンツを分類している人には特にお勧めできます。私は現在、五つのWebサイトの管理を「FTP Exchange」でワンクリック・自動更新しています。ユーザ様からいただいた利用方法の中には、社内の工程管理データのミラーリングやライブカメラの画像伝送など、考えもしなかったところに活用されているものもありました。
今後のバージョンアップ予定
「FTP Exchange」については、致命的な不具合対応は実施しますが、ひとまず打ち止めと考えています。「FTP Exchange」はVisual Basicで開発していますが、いまではVisual C++/C#の開発スキルも身につきましたので、別の分野のソフトウェア開発に挑戦したいですね。自分用のツールとしては、趣味の気象に関するデータ閲覧に特化したブラウザ等を開発して使っています。マニアックすぎて公開はしていませんが……。
みなさんへ
私は、「FTP Exchange」ですべての用途に対応できるとは思っていません。ほかにも多くの優れたソフトウェアがあります。いろいろ試して、自分好みの一本を見つけてください。オンラインソフトの魅力はその多様性と、開発者とユーザのコミュニケーションにあると考えています。そして、ユーザがソフトウェアを育てます。今後もオンラインソフトウェアが、その文化が、みなさんに愛される存在であることを願ってやみません。
(鈴木 聖史)