舞台は、かつて独裁者だった男が作り出した牢獄。モンスターと戦いながら、独立した12個のダンジョンをクリアして、主人公の少女を牢獄から脱出させ、外の世界へと導くことが目的。「独裁者の牢獄」は、独裁者の末裔である少女が、仲間とともに12のダンジョンに挑む、壮大なスケールの長編RPG。主人公は、美大の受験を控えた浪人生「由希子」。東京で暮らしている由希子が、年末に故郷の「青葉村」へ帰ってきたところから物語ははじまる。両親は忘年会へ出かけ、弟の智紀も姿を見せない。実家でひとり過ごす由希子は、遊びに来た幼なじみの「橋田」と親友の「美由紀」から、二人が結婚するという報告を受ける。
さらに美由紀からは「由希子のお爺ちゃんから」と、手紙と一丁の銃を手渡される。手紙には「お前はこれから、多くの悲しみを背負うことになる。だが決して諦めるな。何が起きてもお前は乗り越えられる。なぜならお前は、この世界の独裁者なのだから」と書かれていた。橋田に淡い恋心を抱いていた由希子は、突然の結婚報告、祖父からの不可解な手紙、そして謎の銃の存在に戸惑うばかりだった。
その夜、眠っていた由希子は物音で目を覚ます。部屋の外へ出ると、そこには禍々しい姿の巨大な魔物が! タンスの中に逃げ込もうと扉を開けると、扉の向こうには未来の世界が広がっていた。
未来の世界に迷い込んだ由希子は、「ジェリー」という未来生物に出会う。ジェリーから告げられたのは、この場所が銀河系第13星団惑星エルロイ軌道上の「大型宇宙艦ジークフリート」であることと、由希子が「独裁者」の血を引いているということ。かつて政敵に裁判にかけられたその独裁者は、取り巻きともに「街ごと」異次元の世界――「牢獄」――へと飛ばされる。その結果、独裁者の血脈に連なるすべての存在が街ごと、それぞれの牢獄へ飛ばされてしまった。それらの牢獄には、「魔物」が次々と送り込まれたという。
そこではじめて由希子は、「青葉村」が魔物に襲われた原因が、独裁者の血を引く自分にあることに気づく。青葉村が牢獄から解放されるには、独裁者の血を引く者が脱出するか、死ぬかのどちらかしかない。由希子は、同じく独裁者の血を引く「ジェリー」、人間に恋をしてしまった天使の一族「ミカエル」、中世に名を馳せた錬金術師「ルフレッド」、少数ながら細々と暮らす狼の一族「浄化の魔女」、人間が地上を去った時代の人型戦車「Tiger三式」など、さまざまな時代の牢獄に閉じ込められた仲間とともに、牢獄からの脱出を試みる……。
「独裁者の牢獄」では、各ダンジョンをクリアすると物語が進行してゆく。ダンジョンは全部で12。各牢獄が抱える問題を解決してボスモンスターを倒すことで、メインストーリーが展開する。新しい牢獄へ向かうためには、「檻」を探し出してくぐらなければならない。檻を開けるには、さまざまなイベントをクリアする必要がある。自由度が高い分、イベントの難易度は高めだ。行き詰まった場合は1ヵ所にとどまらず、これまで通過してきた牢獄に戻るなどして、さまざまに模索してほしい。
戦闘システムは、RPGツクール2000で作成されたRPGとしては一般的なもの。相手は、主に牢獄へ送られてきた魔物だ。魔物を倒せば、主人公や仲間のレベルが上がるほか、魔物には食料としての役割もある。できるだけ多くの戦闘をこなしたい。
武器は、クリティカルで命中率が高い「剣」、一定の確率で敵を一撃死させられる「銃」、体力上昇などの追加効果が見込める「鈍器」、2回攻撃が可能な「爪」、全体攻撃やSP上昇に加えて追加効果がある「未知」など。各キャラの特徴を見極めた上で使うと、絶大な効果を発揮する。
各キャラには「固有能力」がある。由希子の「言葉」のような、イベントをクリアするために必要な能力もあれば、SPを消費して全体の体力を回復する「激励」や、敵の心を読んで弱点を暴く「読心」といった戦闘時に役立つものもある。ただし、パーティの先頭キャラが「固有能力」を使っている状態で敵に接触すると、強制的に奇襲を受けてしまう。