ドラマとボス戦が中心の中編RPG。主要キャラだけでも総勢9名が登場する。「Break Heaven」は、神の力を受け継ぐ人々の戦いと愛憎が描かれたシナリオ重視のRPG。偶然、あるいは各々の思惑からいくつものグループに分かれた登場人物たちの物語が、クロスカッティングの手法により交互に展開される。
主人公は、過去の事件が原因で2年もの間ずっと眠り続けていた17歳の少年「ライカ」。後遺症により、すべての記憶を失っている。ライカは、かつて「エデン」という組織に囚われ、そこで「神降ろし」という技術の実験台にされていたようだ。その結果、人はもちろん、すべての生き物にとって絶対に不可能なはずのことを行える特殊能力が備わっていた。しかし、その力はライカの肉体と精神を蝕む原因ともなっていた……。
ヒロインは16歳の少女「ヒカリ」。過去に人が創りし最強の神、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の能力の一つを受け継ぐ「八首(はちくび)」の一人。同時に、オロチを封印した古き三種の神の能力の一部を受け継いだ「三神器(さんじんぎ)」の一人でもある。ライカが眠りについている間、彼の面倒を見続けてきた。かつてある組織で暗殺者として働かされてきたという過去もある。
ライカとヒカリの育ての親「サカキ」は、オロチを封じることを目的とする「神殿」に勤める神父で、非常に高い実力を持っている。2年前に旅に出て以来、ようとしてその行方が知れない。
準主人公の「カイ」は、ある男を追って倒すことが目的の旅をしている19歳の槍使いの青年。魔力を使うことなく魔術を使えるという特殊能力を備えている。
12歳の少女「アヤミ」は、ヒカリと同様、八首の一人で、三神器の能力も受け継ぐ。八首の一人「カモク」に捕らえられ、長い間洞窟の中に閉じ込められていたところをカイに助け出され、カイの復讐に協力することになる。
「カナエ」は、高い呪術の才能と戦闘センスを持つ19歳の女性。父親は、八首の中でも強い力を持ち、カモクたちを操って神殿に敵対する「クロガネ」である。独裁者であり、力こそすべてという父親のやり方に対立し、城を出てライカたちの仲間となる。
「ムメイ」は、八首の一人であり、三神器の一人でもある20歳の青年。以前は神殿に勤めていたが現在は行方をくらましており、クロガネたちとも繋がりがある。オロチの封印が解けかかっている兆しのある中、神殿は、ムメイの居場所と名も知れぬ三神器最後の使い手(アヤミのこと)を探索する命をヒカリとライカに与えた。
「シズク」は、八首の一人でもあり、ムメイと行動をともにする18歳の少女。ヒカリとも親しい間柄だが、ムメイを助けるため心ならずも彼女たちの前に敵として立ち塞がることとなる。
八首の中でも他の追随を許さない圧倒的な力を持ち、「赤髪の悪魔」と呼ばれる「シエン」。自分自身の存在を無意味と感じているため自らの欲望に乏しく、暇つぶしのために、自分が興味を持った人間に力を貸し与える虚無的な男。いまはムメイに力を貸している。カイが追い求める敵でもある。
これらの主要キャラに加え、神殿の代表者である「オババ」、カイの縁者である「ラスク」や「コール」、エデンの首領「オメガ」など、実に多彩なキャラがドラマを織りなしてゆく。
RPGツクールXP RTPで作成されており、ゲームシステムそのものはごく一般的。ただし、ドラマ重視の作りのため、村人たちとの会話による情報収集や経験値稼ぎ、お金稼ぎといった行動はあまり必要ではない。物語に従って移動し、ランダムに出現するザコモンスターや、行く手に立ち塞がるボスキャラを倒していくことで自然と必要なレベルアップができ、お金もたまるようになっている。
データのセーブは、ゲームの要所要所で登場する巨大なセーブクリスタルの前で行う。クリスタルの前で決定キーを押すとHP/SPを含むすべての状態が完全回復し、そのあとセーブするかどうかが聞かれる。また、クリスタルの左横にある青い光の前で決定キーを押すことで、ポーションなどの回復アイテムと一部の武器を購入することもできる。ダンジョンの中に入る前に街の店屋などでアイテムを購入し忘れても安心だ。入手したアイテムや装備などは、どのグループが入手したかにかかわらず、全キャラが共有して使用することができる。
ゲームのポイントのひとつが、中盤以降のボスキャラとの戦闘。もとより「Break Heaven」には自動で戦闘を行う機能は用意されていない上、何も考えずに決定キーを連打して全キャラ「攻撃」だけを選択し続けるとパーティが全滅してしまう。各キャラの「スキル」を上手に使いこなすことが必要だ。特に終盤の戦いでは、三神器の「鏡」「珠」「剣」の力の使い方が重要となる。これらの力は威力こそ絶大だが、使用後数ターンの間「反動」により、使用者のすべてのステータスがダウンする上、スキルが使えなくなる。使いどころを間違えないようにしないといけない。