視点を変化させ、さまざまな角度から鉄道レイアウトを眺めることのできる高機能3D鉄道シミュレータ。オブジェクト相互間の影や昼夜の変化も再現される。「RailSim II」は、豊富なプラグインを利用して、リアルで凝った鉄道風景を構築できる3D鉄道シミュレータ。観賞用モードや撮影モードが用意され、ズームイン/ズームアウトしたり、さまざまにアングルを変えたりしながら、列車の走行を眺めて楽しんだり、スクリーンショットを撮影したりできる。スクリーンショットを連続的に撮影する機能もあり、撮影した連番のビットマップ画像を、他のアプリケーションを利用して動画に変換することもできる。
構築された仮想空間内には、24時間の時刻の変化がある。日中から夜間まで刻々と移り変わる光の加減と、それにともなって変化してゆく列車や駅舎などの表情の違いを楽しめる。「シャドウボリューム」という投影手法により、建物や車輌などのセルフシャドウが描画されるほか、物体相互間の影もリアルに再現される。
注意してほしいのは、「RailSim II」は「鉄道をモチーフにした『ゲーム』ではない」ということ。オリジナルの鉄道網を新規に作成するには、鉄道模型でジオラマを作成するのと同様、それなりの知識や技術、そして何よりユーザのこだわりが必要となる。
はじめて「RailSim II」に触れる人は慌てて鉄道網の構築に手を出す前に、同梱されているサンプルレイアウトを眺め、ソフトのコンセプトや基本操作などをじっくりと把握するところからはじめた方がよい。
操作には、キーボードとマウスを併用する。カメラの前後移動はマウスのホイール回転で行う。【Shift】+ホイール回転は視野角の変更。前後移動とは異なり、カメラの位置はそのままで視野角を変更する(いわゆるズームイン/ズームアウト)。
右ドラッグは、フォーカスを中心にカメラを回転。フォーカスの当たっているポイントに注目しながらその周囲でカメラを回転するもので、目的の物体をさまざまな角度から眺めてみたいときに便利だ。フォーカスはオブジェクトをクリックすることで設定できる。
左ドラッグでフォーカスを水平に移動し、【Shift】+左ドラッグでフォーカスを垂直に移動させることができる。【Ctrl】を併用すれば、すべての操作を高速にすることも可能。操作に習熟して、思い通りのアングルから列車や建物を眺めることができるようになろう。【Ctrl】+【S】でシャドウのON/OFFもできる。
起動直後は、列車の運行状況(簡易マップ)や風速など、さまざまな情報が画面に表示されている。これらが必要ないときは、【F11】を押すことで消せる。一度押すと「鑑賞モード」になり、操作用のパネルが表示されなくなる。さらにもう一度押すと「撮影モード」になって一切の余分な情報が表示されなくなり、レイアウトを心ゆくまで眺められるようになる(さらにもう一度押すと元に戻る)。【Ctrl】+【M】で「簡易マップ」だけの表示/非表示を切り替えることも可能だ。
スクリーンショットの撮影は【F12】。いつでも名場面を撮影できる。標準画質での撮影のほか、ポリゴンやテクスチャにアンチエイリアスがかかった「高画質撮」モードも用意されている。スクリーンショットを連続的に撮影する「簡易ビデオ機能」もある。
鉄道網の構築は、画面右側に表示されるメニューで行う。使用できるメニューは「線路操作」「車輌操作」「駅舎操作」「施設操作」。「線路操作」では、使用するプラグインの種類を「レール」「枕木」「橋桁」「橋脚」「架線」「架線柱」の各項目ごとに自由に選択できる。プラグインのデザインをプレビューでリアルタイムに確認することが可能で、わかりやすい。
線路の設置は「線路設置」を選択して、マウスで操作する。線路オプションパネルを操作することで、線路に設置する要素を変えることも可能。既存の線路にカーソルを近づけるとインジケータが表示され、線路を延長したり、ポイントを作って分岐させたりすることもできる。複線機能を有効にすることで、平行した2本以上の線路を一度に引くことも可能だ。
「線路編集」では、線路の削除などを行えるが、ここで重要なのは「ワープ接続」モードだ。ワープ接続は「実際には接続されていない途切れたレールを仮想的に接続する」機能のこと。上手に利用すれば、レイアウトの自由度を大いに高めることができる。
「車輌操作」では、「車輌編成」と「ダイヤ設定」「車輌配置」「車輌視点」の設定を行える(ダイヤ設定では駅舎やポイントが設置されている必要がある)。「車輌操作」を行えば、思いのままに編成した車輌を施設した線路上で、自在に走行させて眺めることができるようになる。作成した編成はテンプレートに保存し、あとで使い回すことも可能。「車輌視点」では、設置された編成を追跡して鑑賞できるほか、運転席からの視点に切り替えることもできる。
「駅舎操作」と「施設操作」では、駅舎や施設を設置してリアルで見応えのあるレイアウトを作成できる。駅舎は、列車の停車などを可能にする重要な施設でもある。