「TEAD」は、複数ファイルの同時編集に対応したタブ切り替え型のテキストエディタ。プログラミング言語ごとに用意された予約文字の強調表示や、拡張子ごとのエディタ設定の変更など、プログラマ向けの機能が充実している。Windows XP/Vistaで導入されたビジュアルスタイルに対応し、メニューデザインやボタンなどのデザインは、使用中のOSにマッチした形に変更される。

行番号やルーラなどの表示は、用途や好みに応じて自由にON/OFFすることが可能。Tabやリターン、キーワード、構文の強調表示などはファイルタイプごとに個別に設定することが可能で、複数のファイルタイプを別々のタブで開いた場合、タブごとに表示形式が変わる。文字コードセットはShift JIS/JIS/EUC/Unicode/UTF-8など、多数のコードセットに対応し、タブごとに別々の文字コードセットを持つファイルを同時にオープンすることができる。もちろん文字コードの自動判別機能もある。

エディタウィンドウの半透明表示機能もある。他のウィンドウに重ねた状態でテキストを編集することも可能で、ダイアログやウィンドウデザインを見ながら、メッセージテキストを編集する、といった使い方ができる。

検索・置換機能では一般的な文字列検索のほか、大文字/小文字、全角/半角、スペースを区別した検索や改行を無視した検索も行える。正規表現を用いた検索/置換にも対応する。さらに、現在開いているすべてのファイルからの検索や、指定ディレクトリ内のファイルから検索を行う、といったことも可能だ。ディレクトリでは、サブディレクトリを含めるかどうかも指定できる。インクリメンタルサーチにも対応する。さらに、Yahoo!やGoogleなどの検索エンジンをエディタ内から呼び出して検索を行う機能もある。

便利な機能としては、個々のタブで開かれたファイル同士を比較する「ビルトインDiff（ファイル比較）」が挙げられる。比較した結果発見されたファイルの相違点は、色付きの強調表示がなされる。

エディタの基本機能ともいえる編集キーは、ユーザが自由にカスタマイズすることが可能。メニューバーやツールバーもユーザ定義でカスタマイズできる。キーボードマクロ機能もあり、定型的な操作をコマンド化できるほか、スクリプト機能を用いて条件判断を含むより高度な機能をユーザレベルで組み込むことも可能だ。

なぜそういう状態かといえば、同じことをするための機能であっても、いくつもの実装方法や実現方法があり、それらがそれぞれ「いいところ」を持っているからだ。例えば、複数のファイルを同時に開くマルチファイル編集の場合、それぞれ個別のウィンドウを開く独立ウィンドウ方式や、大きなメイン画面の中に複数の子ウィンドウを開くMD」方式、シングルウィンドウファイルごとに分割する画面分割方式、そして「TEAD」のような「タブ切り替え」方式などがある。

これらはどれが優れているとか劣っているとかではなく、あくまで使う人の好みやパソコンの画面の広さなどといった環境に応じて選ぶべきものだろう。ただプログラマがよく使う「開発環境」では、どちらかといえばタブ方式の採用が多い気がする。

しかし、こんな基本的なことでさえ、いくつかの方式があり、それによって利用効率が大きく変わってくる。ソフトを作る方も大変だろうが、選ぶ方も大変だ。しかし、ことタブ方式に限っていえば、「TEAD」はなかなか高機能だし、カスタマイズ機能も豊富だ。この方式のソフトを探している人にとっては有力な候補となることには間違いない。

当然ですが、Delphiをインストールしていない環境ではテキストエディタ代わりに使えず、メモ帳（notepad.exe）を使うハメになるのですが、古いWindowsのメモ帳は【Ctrl】＋【S】で上書き保存ができず、フラストレーションがたまることとなりました……。動機は“非常に些細なこと”から生まれたのです。

開発途中で本田勝彦氏作のTEditorコンポーネント（http://homepage3.nifty.com/~katsuhiko/）を知り、「どうせなら使い慣れたDelphiのコードエディタに近いものを作ろう」というコンセプトのもと、開発が進められました。

そして、正式公開することになりましたが、このときに「シェアウェアとして公開してみよう」と思いました。「『TEAD』はユーザが“対価を払ってまで使ってくれる”ソフトウェア足りえるのか？」というのが知りたかったのです。

開発中に苦労した点
Windowsの互換性です。古いOSに縛られたままだと新しいOSの機能を使うことができず、古臭いソフトウェアになってしまいますが、古いOSから新しいOSまでシームレスに使えるエディタがほしかったのも事実で、新しいOSやサービスパックが出るたびに動作検証をして、使えそうな新機能を盛り込んでいます。……ゆえに、下位互換性を検証するのが結構ホネでした。

ユーザにお勧めする使い方
“Delphi 2007 for win32 / C++Builder 2007 / CodeGear Rad Studio 2007”をインストールした環境、あるいはBartPE上で動作させることですかね……。以上の環境では「TEAD」はレジストを必要としません（寄付は歓迎ですが）。

強調構文表示されたテキストを、そのままの色でHTML/RTF形式でクリップボードに保存できますので、コードをWebページに掲載したい場合や、Word等でドキュメントを作成するときには便利だと思います。同様に、強調構文表示されたテキストをそのままカラー印刷することもできます。

ちょっとした機能拡張はTEADマクロで行えます。マクロスクリプトはメニューやツールバーに割り当てたり、ショートカットキーを設定することができます。

今後のバージョンアップ予定
細かいところの使い勝手を地道によくしていきつつ、いつかはUnicode完全対応（現在のUnicode対応はShift JISからの変換ですので、日本語専用となっています）をさせてみたいですね。それと、マクロ用のPPAをもう一度最初から作り直してみたいです。