次から次へと出題される四則演算を解いてゆく暗算学習ソフト。出題速度や次の問題に移る時間をカスタマイズできるのが特徴。「あんざんのれんしゅう」はその名の通り、暗算訓練を行える学習ソフト。ユーザは、画面に表示された式の解答を次々と答えてゆく。最大3桁の値を使った高度な問題に挑戦することも可能で、子どもから大人まで、幅広いユーザの学習に利用できる。
起動すると、最初に名前の選択画面が表示される。名前はランキングデータの表示などに利用されるもので、入力しないとメイン画面に進めない。名前の入力はキーボードから行えるほか、ソフトウェアキーボードを使って、マウスで行うことも可能。一度名前を登録すると、次回以降はプルダウンメニューから選択できるようになる。
メイン画面は三つのエリアに分かれている。一番大きな「黒板」のエリア(右エリア)には問題文が表示される。上エリアには「どのような種類の問題を解くか」の設定が、また左エリアには解答入力用の数字パネルが用意されている。【Shift】キーを押すことで、左エリアに成績ランキングを表示させることも可能だ。
どのような問題を解くかの指定は「せってい」画面から行う。たし算、ひき算、かけ算、わり算を自由に切り替えられるほか、ユーザ自身が登録した数式の問題を解く「入力した式から」モードもある。「入力した式から」では、入力式をファイルに保存したり、ファイルから読み出したりすることも可能。「入力した式から」以外のモードでは、連続して出題される問題数を指定できる(デフォルトでは10問)。制限時間、問題を出す速さ、次の問題を出すまでの時間を設定することも可能だ。
たし算とひき算では、問題の桁数を1/2/3桁から指定する。加減記号の前後それぞれについて個別に桁を選択でき、例えば「2桁+3桁」「3桁−1桁」というように指定できる。「3桁+3桁」「3桁−3桁」はかなり難度が高く、“大人向け”といえる。
かけ算は、「1桁×1桁(九九)」と「2桁×1桁」のいずれかを指定する。九九の場合では「1の段」「2の段」といった段数ごとに出題するかどうかを決められる。小学生が段ごとの学習を行う際に最適だ。問題の出題順は、通常ではランダムだが、2×1、2×2、2×3……というように数の順序通りにするオプションもある。「2桁×1桁」では、2桁側数値の「十の位」を一定値以下で絞ることができる。わり算では、解答(商)の桁数が1桁/2桁のいずれかを指定する方式。剰余の有無も設定できる。
解答は、解答入力用の数字パネルまたはテンキーで行う。問題の数式が左から少しずつ表示され、等号が出たあとではじめて解答できる。一般的なソフトのように“解答入力後に【Enter】などのキーを押す”必要がなく、思考を妨げられることがないため、スムーズに学習できる。最初の解答で正しい値を入力した場合に限り「正解」として扱われるため、一度間違えて2回目の解答で正解しても「正解」扱いにはならない。不正解の場合は、正解を入力するまで先に進めない。
満点は100点。最初に設定した「問題数」によって1問あたりの点数が決まる。問題数が10問であれば1問につき10点が、20問であれば5点が加算される仕組み。スコアランキングもあり、「たし算 1桁+3桁」「わり算 商1桁で剰余あり」など、設定ごとにランキングが用意されている。ランキングには「ユーザ名」「正答率」「得点」などの項目が登録される。
動作にモードには通常のモードのほか、「スピード計算」と呼ばれるモードがある。制限時間を分単位(1〜30分)で指定し、ひたすら問題を解いてゆくもので、すばやくかつ正確に計算する能力を高めるのに役立つ。問題の解き方や仕様は通常モードと基本的に同じだが、出題速度が最高速になり、設定した時間が経過すると正解数が表示される。
実のところ、「あんざんのれんしゅう」には計算問題を解くという点ではこれといった特徴はない。ただし、「問題を出す速さ」と「次の問題に移るまでの時間」を細かく指定できる点が意外と大きく、有用だと筆者は考える。というのも、ユーザそれぞれに問題を解く「リズム」があるはずで、そのリズムに乗るとテンポよく、気持ちよく解答できるからだ。
自分に合ったリズムを見つけ出すには試行錯誤が必要だが、一度設定してしまえば次回以降は同じリズムで練習できる。もちろん、精度や解答速度が上がってきたらリズムを変えてみるのもよいだろう。そうして、さらに高速に計算が行えるリズム調整ができれば、しめたものだ。
(田中 剛健)