異色の“将棋+アドベンチャーゲーム”。ミステリー仕立てのアドベンチャーゲームを楽しみながら、登場人物たちと対局して将棋の腕を磨ける。「記憶の中の3三角成り」は、将棋とミステリーアドベンチャーを融合させたユニークなソフト。プレイヤーは、アドベンチャーゲームのストーリーに沿って「謎」を追い求めると同時に、随所で将棋の対局を行うことになる。
ゲームの主人公「直樹」は高校2年生。小学生のときに両親を交通事故で亡くし、現在は妹の「春香」と二人きりで生活している。春香は高校1年生ながら、プロの女流棋士。しかも、棋士になってわずか2年で女流名人位を獲得できるかもしれない、というところまで迫っている天才棋士だ。直樹の同級生「涼子」も女流棋士で、春香より2年早くプロ入りし、トップ棋士として活躍している。さらに、春香の同級生で女流育成会の同期でもあった「明子」の3人の少女が直樹の周囲を彩る。
直樹も現在は将棋の道を諦め、奨励会も休会しているが、3人の少女が所属する「将棋サークル」の創始者であり、日ごろからアドバイスを求められるほど一目置かれた存在となっている。ところがある日、直樹はいきなり見知らぬ病院のベッドの上で目を覚ます。医者によれば、交通事故に遭ったということらしいのだが、直樹自身はまるでそのことを思い出せない。さらには「妹が行方不明になった」ということを知り、直樹は愕然とする。
操作は基本的にマウスで行う(一部キーボードも使用可能)。アドベンチャーパートでは、「移動」「話す」「調べる」の3種類のコマンドを使用して物語を進めてゆく。「移動」では、表示された移動可能な場所のリストから移動先を選ぶ。ゲームの序盤は自由に移動できるが、中盤からは画面の左上に表示される「体力」(移動パラメータ)によって一日の移動量が制限される。体力は「移動」を1回行うごとにひとつ消費され、0になると意識が朦朧として病院に運ばれてしまう。体力は直樹の棋力と連動しており、「将棋道場で駒落ち対局に勝利」「詰将棋を5問連続で正解」するなどの条件をクリアすると、最大値が増えてゆく。
「話す」は、目の前にいる相手と会話するコマンド。会話内容の選択肢が表示されるので、そこから内容を選ぶ。「調べる」では、いまいる部屋の中を調べられる。登場人物の姿が消えて、画面全体を調査できる。何かメッセージが表示される場所は、マウスカーソルが虫眼鏡に変化する(何もないところでは手だけが表示される)ため、無駄なところを調べる必要がなくわかりやすい。
データのセーブ/ロード、文字送りやBGMの設定などは、「設定」コマンドから行える。
将棋の対局は最初、「9枚落ち(相手の駒が歩9枚・金1枚・王のみ)」からはじまり、8枚落ち、7枚落ちと、次第にハンデがなくなってゆく。これにより、自然と棋力がアップしていくという趣向だ。
対局前に注意点や基本的な戦法の解説が表示されたり、「ヒント」のクリックで、その局面での最善手を教えてもらえたりと、いたれり尽くせりの親切設計だ。対局の終了後に「感想戦」を行うこともでき、自分の指した手について検討できる。将棋の基本的なルールや手筋の解説も、初心者向けのきめ細かなものが用意されている。ゲームに登場する人物との会話中などで見られる上、タイトル画面の「将棋ルール」から、すべてをまとめて閲覧できるようになっている。
ゲーム開始前には「棋力(将棋の難易度)」を設定できる。「入門」「初級」「中級」「上級」「最上級」の5段階から選択できる。難易度によるシナリオの変化はないが、移動パラメータの獲得が難しくなったりする。
ストーリー中の対局とは別に、人間やコンピュータとの対局を行うことも可能。3Dで表示されるキャラクタとの対局画面を見られる「3D対局」機能も用意されている(体験版では利用できない)。