泥棒に押し入られて窮地に陥った級友を救うため、さまざまな人間の話を聞いて犯人を探す推理アドベンチャーゲーム。「パスティーシュ・ノベル『月屋形事件』」は、昭和初期に活躍した小説家「甲賀三郎」の推理小説をモチーフにした推理アドベンチャーゲーム。キャラや時代背景は「お初桜事件」「贋紙幣事件」の設定を踏襲している。主人公は、中学生で探偵助手を務める少年「風岡」。風岡の級友で、天才的な頭脳を持つ学生探偵「森」とともに、事件解決に挑む。
「月屋形事件」で二人が解決を試みるのは、友人宅で起きた盗難事件。友人の父親は大きな事業をしており、その莫大な運営費が何者かによって盗まれてしまう。このままでは、その友人が学校を去らねばならないと知った風岡は、森とともに盗難事件の真相を暴こうと動き出す。ところが、友人の自宅「月屋形」に到着した途端、唯一の頼りだった探偵の森は、ある調査を風岡に頼んでふらりと消えてしまう。風岡は、森が戻るまでに依頼された「調べもの」をすることになるが……。
ゲームシステムは、表示される文章を読みながら、時折現れる選択肢を選ぶ推理アドベンチャーとしてオーソドックスなもの。ただし、重要な質問には自分で文字を入力して回答する必要があるため、闇雲に選択肢を選ぶだけでは事件を解決できない。
プレイヤーは、お金を盗まれてしまった級友の父、女中、庭師といった人々に質問し、事件を解決するための糸口を見つけてゆくが、それぞれの人物に質問できる項目は三つまで。登場するキャラは、必要な情報の断片的なヒントしかくれないため、難易度は高い。ただし、「直前の選択肢/入力に戻る」コマンドを使えば、同じ人物に何度も質問することは可能。さまざまな質問を試みて謎を解いてゆこう。
エンディングは、人物に対する質問と、その後にプレイヤーが取る行動によって分岐する。謎が完全解明されるトゥルーエンドのほか、お金が見つからないまま帰るバッドエンディングや、予測もつかない人物が突然犯人になってしまう超展開のものなど、全部で9種類のエンディングが用意されている。一度見たエンディングの名前はタイトル画面で確認できる。
本編とは別の「挿話」(ショートストーリー)も用意され、ある条件をクリアすることで読めるようになる。条件を満たした時点で挿話が追加され、その場ですぐに読むことも、あとから読むこともできる。
挿話は複数が用意されており、森と風岡が事件について討論していたり、本編登場人物以外のキャラが月屋形事件について話したりと、内容はさまざま。なかには本編エンディングをすべて見るためのヒントが紛れていたり、ストーリーの裏側を知ることができる話があったりと、プレイする上でタメになる話も登場する。挿話を読むことで、見えなかった事実が明らかになる。ぜひ、すべての挿話を集めたい。