中学レベルからTOEIC用レベルまで、幅広い範囲の学習が行える英語学習ソフト。発音を聞くことができるため、リスニング対策としても活用できる。ユーザの記憶度合いに応じて、ソフト側で出題する問題を調整してくれるのが特徴。「EigoUp」は、英単語・英熟語・英文を繰り返し学習できるソフト。中学/高校レベルの問題がひと通り揃うほか、ビジネス用やTOEIC用など高度なものも一部含まれている。学習用の英語はソフトにプリセットされており、あとから追加する必要はない。ユーザがExcel形式で単語ファイルを作成し、登録することも可能だ。
起動すると前回学習成果のグラフが表示され、続いて今回学習する際の設定画面が現れる。学習したいレッスンファイルか「単語・熟語/例文データベース」を決めて、必要に応じて各種設定を行う。設定は細やかな指定が可能。前回終了したときの続きからはじめたり、指定した語からはじめたりもできる。もちろんリストの最初から学習していくことも可能だ。
記憶状態についての設定も行える。記憶状態は「ユーザが言葉をどれだけ覚えているか」を示すもので、一語一語それぞれの正答率から判定される。記憶状態は「全然」「うろ覚え」「完全」の3段階に分かれ、ユーザが間違いなく記憶していると思われるものは「完全」に分類される。出題内容を、記憶状態に則した形で変更することも可能。例えば「うろ覚え」の言葉だけを集中的に覚えたりできる。ほかにも、合間に出題される復習問題の出現頻度を変えたり、目標回答時間を指定したりといったことが可能だ。
設定が完了したら、いよいよレッスン開始。レッスンは、まず日本語で問題が出題され、回答となる英語をキーボードで入力する形。正しく入力できなかった場合は、入力できるまで何度も繰り返すことになる。ウィンドウ左側には出題されてから何秒経過したかがバーで表示される。なかなか答えられないと、早く答えるように促されるので緊張感を持って学習できる。
回答入力後、正解/不正解にかかわらずアシスタントの鳥が正解を正しい発音の英語で喋ってくれる。熟語や文の問題の場合は「例文」を挙げて説明される。アクセント記号も合わせて表示されるので、注意すべき発音やアクセントを同時に覚えることもできるのはうれしい。
問題が出題されたあと、回答欄に自動でキー入力が行われる「オートモード」が搭載されている。オートモードを使うと、ただ見ているだけでどんどんレッスンが進む。ただし、レッスンしたという記録が残らず、記憶状態も遷移しない。“はじめて触れる”単語/熟語の予習用として使うといいだろう。
レッスンを進めていくと、結果がどんどん記録されてゆく。現在のレッスン状況は、ソフトを起動したときにグラフと表で確認できる。正解を重ねるごとに、言葉の記憶状況が「全然」→「うろ覚え」→「完全」と切り替わっていくのは向上心を煽られること請け合いだ。
ちなみに筆者の傾向として苦手なのは“文”関連で、一部の中学レベルの英語ですら危ういことが判明した。学生時代に文法をサボっていたからなぁ……と嘆いたところで、後悔先に立たず。ともかく、こういった「何が苦手」といった傾向が簡単にわかるのも「英語アップ」の特徴といえる。
ここまで誉めてばかりなので、あえて不満点を二つ。ひとつは、画面サイズに合わせてウィンドウサイズが自動的に決まる仕様のため、デスクトップのほとんどを「英語アップ」のウィンドウが占有してしまうこと。これは好みの問題なのだが、学習しながら裏側の画面でカンニング(!)できないのは残念。……実は、カンニング対策として画面を大きくしているのかもしれない。
もうひとつはクリティカルな問題なのだが、説明や解説がどこにも見あたらない点。細かい設定が行えるだけに、やはりソフトについての説明書きは必要だと思う。とはいえ、ユーザインタフェースがしっかりとしているので、「とりあえず使いはじめる」ことは十分可能だ。英語学習で苦戦しているという方は、ぜひ一度使ってみることをお勧めする。
(田中 剛健)