空の町「セブンシア」から、仲間となる人間を探すために地上に降りた少女の物語。さまざまな行動を通して、セブンシアへ導く相手を探し出そう。「セブンシア」は、タイトルにもなっている、セブンシアという町に住む少女・スーンが主人公のアドベンチャーゲーム。セブンシアは空に浮かぶ、お伽話に出てくるような不思議な伝説の町。セブンシアには「ラスナイ」と呼ばれる、地上の人と変わらない民族が住んでいる。ただし、地上の人とは「ラスナイは地上では呼吸できない」という点で大きく異なる。
16歳になって成人したラスナイには、ひとつの大きな使命が与えられる。それは「地上の信頼できる人間をセブンシアに連れてきて、双方合意の上でラスナイになってもらう」ということ。成人したラスナイには、地上での呼吸を補助するためのアイテム「キョン」が支給される。スーンも、成人したばかりで地上に降りることになった。
キョンを使用できるのは3日間だけ。3日を過ぎると壊れてしまう。壊れる前にセブンシアに戻り、新しいキョンを付けてもらわなければならない。また、セブンシアに帰還するところを見られたラスナイは、その地上人をセブンシアに連れてくることができなくなるなど、さまざまな決まりごとが設けられている。
スーンの特徴は、素直で元気すぎること。仲間が皆、大都市に降りる中、ひとりだけ田舎の貧村「カノー村」に降りることを選ぶ。ところが、カノー村は盗賊団に狙われており、スーンは村のゴタゴタに巻き込まれてしまう。医者のいない村で医療行為を施す真面目な青年・セイルム、盗賊討伐に燃える熱血少年・スティック、シニカルで口の悪い「札師」の少年・ピサーロなど、個性的な村の人々と出会い、スーンは自分のパートナー候補を探してゆくことになる。
ゲームの魅力は、なんといってもよく練られたストーリー。すべてのキャラクタにさまざまな過去が設定され、それが「盗賊団の来襲」によって表面化する。スーンの登場で物語が進んでゆくさまは、よくできた小説を読むようにおもしろい。キャラクタによってはかなり深刻な背景もあるが、単純でストレートなスーンの視点でストーリーが進められるため、深刻な事態にもかかわらず、楽しく読み進めてゆける。
ゲームは、マウスクリックで文章を進めてゆく。ゲーム途中で表示される選択肢を選ぶことで、ストーリーはさまざまな方向に展開する。選択肢を選ぶ際に重要となるのが、各キャラクタの「好感度」。スーンが選ぶ行動により、そのキャラクタのスーンに対する好感度が上下する。スーンに対する好感度が上がった場合は、選択肢を選ぶと「チーン」というベルの音がなり、逆に好感度が下がった場合は「ブー」と警告音が鳴る。エンディングは13種類。なかには、地上の人間以外とのエンディングなども用意されている。2回目以降のプレイでは、ちょっと驚くような相手との完全ギャグエンディングも用意されている。
エンディング後には「おまけ」要素も用意されている。おまけではゲーム内のCGやBGMを楽しめるほか、それまでにプレイしたエンディングを繰り返し見ることが可能。おまけ要素のひとつ「スタッフルーム」メニューでは、ゲームスタッフによる追加ストーリーやマンガなどを見ることもできる。ただし、ストーリーは本編の設定とはほぼ関わりない、爆笑ナンセンスコメディものだ。スタッフルームには、各キャラクタの水着姿の絵を見られる「水着コーナー」も設置されている。はゲーム内で特定の条件を満たしたキャラクタのみ、水着を見ることができる。
エンディング後のもうひとつのお楽しみが、次のプレイから表示される「射る」という選択肢。一度エンディングを迎えたあとは、すべての選択肢に相手を「射る」というコマンドが表示されるようになる。この選択肢を選んだ場合の相手のリアクションもなかなかおもしろい。また、「射る」を選択した場合は、相手の好感度が動かない。特定のエンディングに行くために便利な選択肢だ。