ソフトを開発しようと思った動機、背景
「なんだか風邪薬みたいな名前」とか「いかにも悪役怪獣らしい名前」とかいうのはどういうわけなんだろう? というのがずっと気になっていました。人名でも、フランス人、ドイツ人、イタリア人、ロシア人、インド人等々には、それぞれいかにもそれらしい名前というのがあるし、男の子の名前、女の子の名前という区分はほぼ世界中にあります。また、アナキン・スカイウォーカーとダース・ベイダーでは、どちらが悪そうかと聞かれれば、スターウォーズを知らない人でも間違わないでしょう。これらの「なんとなく」という感じをなんとかシステム的に扱えるようにしてみたい、というのが制作背景にある思いです。開発中に苦労した点
構造的には、文字のつながり具合を推移則としてどうデータ化するかで結構難航しました。レイアウトでは、生成回数の指定は当初「設定」ウィンドウにありましたが、よく使うのでメインウィンドウに置こうとしたらうまく収まる場所がなく、結局「生成」ボタンの中に組み込むという直感的なデザインに落ち着きました。アプリケーションとしては、指示されたことをひたすら実行するこのタイプのプログラムは、OSから「応答なし」の扱いを受けやすいので、その回避策もそれなりに入れてあります。
ユーザにお勧めする使い方
使い方はもちろん自由ですが、経験的には、読み込んだテキストファイルからカタカナ語だけを抜き出したあとに、単語データ群を積極的に編集することをお勧めします。ふさわしくない単語を削除したり、影響度合いを強めたい単語を複写したり、追加したりして、単語ファイルのそれらしさを上げていくと、生成結果も何となくそれなりになっていくようです。単語ファイルとしての保存や読み込みは、いわばそのための機能です。
今後のバージョンアップ予定
ここでは名前という統計処理しやすい対象を扱っていますが、「いかにもナントカらしい○○」というときの○○には、構成、文体、構図、色調、メロディ、リズム、音色、デザイン、形、顔、体格、景色、雰囲気、味、香り、間合い、決め技、展開、論調などなど、ありとあらゆる表現が当てはまります。この話の最大公約数はたぶん「パターン認識」だろうと思います。
人間は、未知のものに出会ったときに、それまでに蓄積したあるパターンに当てはまると、それをそのジャンルの範囲内のものとして認識するようです。その意味で、人間が対象に「なんとなく」感じるある傾向をパターンとして処理し、その中からまだ使われていない構成要素を見つけられれば、「いかにもそれらしい」ものを新たに表現することができるだろう、というのが基本コンセプトで、その名前版が「命名ヤギさん」というわけです。この「なんとなく」の世界へのアプローチが今後どういうふうに進められるのか、いまのところはなんとなくすらわかりません。
(沌珍館企画)