ドラッグ&ドロップでファイルの暗号化/復号化を行えるソフト。「鍵ファイル」を使って暗号化/復号化を行うため、パスワードを暗記したり、そのつど入力したりする必要がない。「VSC-P2P」は、簡単な操作でファイルの暗号化/復号化を行えるセキュリティ対策ソフト。公開鍵方式を採用し、パスワード方式に比べて管理が容易。ファイルをやりとりする際の安全性が高い(編集部注:個人でのファイルの暗号化/復号化は無料で利用できるが、暗号化ファイルを他のユーザとやりとりして復号化を行ったりする場合は別途、有償版が必要)。
「VSC-P2P」では、セットアップ時に「公開鍵」「秘密鍵」「自己認証鍵」の三つの鍵ファイルを作成する。公開鍵は、ファイルを受け渡ししたい相手に渡すもの。秘密鍵は自分で保管する鍵だ。一般に公開鍵方式ではこの二つが使われるが、「VSC-P2P」ではさらに自己認証鍵がある。他人とファイルをやりとりせず、自分だけで使う場合に利用する。
鍵セットの作成後は、「ミニ工房」という小さなウィンドウ上のアイコンへのドラッグ&ドロップで、ファイルの暗号化/復号化を行えるようになる。鍵セットが利用者を認証するので、そのつどパスワードを入力する必要はない。
暗号化時には、暗号化ファイルを渡す相手を指定する。相手はリストから選択するようになっている。自分だけが利用する(復号化できる)ファイルを作る場合は「今回の暗号化相手」リストに自分だけを登録する(自分の情報はインストール時に登録したものが表示される)。
暗号化ファイルを他人とやりとりする場合は、事前に相手の公開鍵が必要となる。
(1)ファイルを暗号化して送る 相手が作成した公開鍵をあらかじめ送ってもらい、自分の「VSC-P2P」に登録する。「今回の暗号化相手」リストに相手を登録してから暗号化を実行し、作成された暗号化ファイルを相手に送る。暗号化ファイルの送信先が複数の場合は「今回の暗号化相手」に全員の宛先を登録すればよい。
(2)暗号化ファイルを受け取る 自分の公開鍵を相手に送って登録してもらい、自分宛に作成された暗号化ファイルを受け取って復号化する。
はじめての相手から受け取った暗号化ファイルを復号化する場合は、相手の名前やメールアドレスを確認するダイアログボックスが表示される。このとき相手の公開鍵が自分の「宛先リスト」に登録されていなければ、その登録も行える。鍵ファイルを交換し、公開鍵/秘密鍵が一致しない限りファイルを復元できない。
ファイルを暗号化する際には、ファイルを送る相手を指定できるほかにも、暗号の有効期限を指定できる。期限は、絶対的または相対的に指定することが可能。「絶対的」の場合は日時を直接指定するのに対し、「相対的」では暗号化を行った時点、または初めて復号化を行った時点を基点とし、何時間後あるいは何年後までといった形式で指定する。
そのほか、ファイルをやりとりする相手を管理する「宛先リスト」の編集機能、自分の公開鍵をメールに添付して送信する機能などがある。エクスプローラなどのコンテキスト(右クリック)メニューからも暗号化/復号化、ファイルの抹消(電子シュレッダー)などを行える。