夏祭りの日に突然消えてしまった姉を捜すため、しっかり者の少女が不思議な世界を冒険するという設定の純和風RPG。鬼や妖怪たちがうごめく独特の世界観が魅力。「〜神隠し〜【道切りの果てに】」の主人公「小夜」は、幼いながらも姉の面倒を見るしっかり者の少女。ある日、感情の赴くまま元気一杯に行動する天然少女の姉「沙羅」とともに夏祭りに出かけるが、突然の雨と雷に襲われ、小夜が雷に気をとられた一瞬の間に、沙羅の姿が掻き消えてしまう。
さらに、小夜も雷に打たれて異世界に飛ばされてしまう。姉も「自分と同じように飛ばされてしまった」と考えた小夜は、頼りない姉を捜す決意を胸に、異世界での冒険に出発する。そして、小夜の世界と異世界を分ける「大結界」を監視する「竹の巫女」と出会い、姉捜しを手伝ってもらうことになる。
さまざまな場所で見つかる姉の痕跡と、異世界の住人たちが見たという姉の奇妙な行動。姉の行動に振り回されつつ、小夜は異世界の根本を揺るがす大事件に巻き込まれてゆく……。
「純和風の世界観」がゲームの最大の特徴。竹林やお堂など、昔話に登場するような世界はRPGではめずらしい。敵キャラも「鉄鼠」や「天井下がり」など、日本古来の特徴的な妖怪が次々に登場する。竹取物語をベースにしたと思われる「竹の姫」をはじめ、登場人物たちは個性派ぞろいだ。ストーリー全体に絡んでくる竹の姫は、有益な情報を与えてくれる一方で、選択肢によっては強力な敵にもなるため、注意が必要だ。
戦闘は、フィールド上の敵アイコンと接触することで発生する。回避は容易だが、戦闘を避けるとレベルは上がらない。ただし、フィールド上には体力や攻撃力を強化できる「花」が咲いていることがあり、レベルアップ代わりに利用できる。また、ボス戦は回避できないが、敵の弱点を集中攻撃することで、レベルが低くても倒せるので、必ずしも地道にレベル上げを行う必要はない。
小夜が用いる武器は「お手玉」「ビー玉」「あやとり」といった、和風かつ少女的なものが多い。MPを消費する特殊技はレベルアップとともに種類が増えるが、特定の人物と会ったり、選択肢を選んだりすることで、昔話の雰囲気を備えた「子守唄」「数え歌」などの技を入手できる。
小夜は異世界を歩き回って情報収集を行うことになるが、途中で何度か「鬼」と遭遇する。他の敵と違い、小夜が鬼に捕まってしまうと一瞬でゲームオーバーになってしまうため、鬼がいるエリアに入った場合はひたすら逃げる「鬼ごっこ」をすることになる。このほかにも、暗号を解読したり、制限時間内にアイテムを手に入れたりなど、さまざまなミニゲームや特殊ルールが設定されている。
ゲーム中には、異世界のキャラクタたちと会話をするイベントが何度か挿入される。このとき、小夜の行動を決める選択肢が現れる場合があるが、選択した行動によっては、即バッドエンドになることも少なくない。このように、小夜が「即死」してしまうポイントがいくつかあるため、プレイ中は常に緊張感が漂う。ポイントの手前ではセーブするかどうか聞かれるので、必ずセーブしておきたい。