ストーリーやキャラクタに凝ったドラマチックなシューティングゲーム。縦スクロール、横スクロール、後方視点と、場面に応じてゲームモードが変化。ミッションクリアで稼いだ得点を使い、自機の装備を強化できる。「R.O.Z -RESTRAINT OF ZERO-」の主人公は、少女「シェンレット・R・マリエル」。まだあどけなさの残る見かけとは裏腹に、身体の40%以上が機械に置き換えられた一種の戦闘兵器だ。交通事故で瀕死の重傷を負ったシェンレットは、生まれつき備えている異常なほどの視力と瞬発力を見込まれ、軍の機密プロジェクトの実験台として蘇った。しかも身体の一部が機械になっただけではなく、脳にデバイスが埋め込まれ、「マスターキー」と呼ばれる思考抑制装置を作動させられると、マスターの命令には絶対服従の殺人兵器となってしまう。
舞台は「イリス」という名の惑星。この惑星上で、シェンレットの祖国「シーバ」は、三大国が手を結ぶ「連合軍」と熾烈な戦闘を繰り返していた。シェンレットは、軍事オペレータである父親の「シオン・Q・マリエル」のオペレーションの下、シーバ軍の誇る最強戦闘機「グラビティ・ゼロ」を操れる唯一の搭乗員として、激戦に参加することが義務づけられていた……という設定。
ゲームは、軍から命じられたミッションをシェンレットとシオンのコンビがクリアしてゆくという形式で進行する。ミッションは、「宇宙空間における重要拠点の奪回」「嵐の中での友軍輸送機の支援」「猛毒で満ちた樹海の調査」「スペースコロニーの防衛」などで、舞台も作戦内容も多彩だ。
各ミッションは、軍によるブリーフィングからはじまり、メニュー画面の表示、使用するウェポンの選択、ミッションの開始という手順で実施される。ミッションの冒頭では、必ずシェンレットと、軍または軍事オペレータであるシオンとの通信が行われる。内容はほとんどの場合、作戦行動の指示などだが、さりげないやりとりの中にヒロインたちの置かれた状況や心情などが垣間見え、ドラマ性の高い演出がなされている。通信はミッションの遂行中、状況が変化したり、新たな情報や命令が届いたりしたときなどにも行われる。友軍機のパイロットとの通信なども行われ、臨場感を醸し出している。
ミッションクリアの条件は、ミッション前のブリーフィングもしくはミッション中の通信などで指示される。基本的には、自機がダメージを受けないように敵弾を避けながら、襲ってくる敵機を撃退して前方に突き進み、最後に登場するボスキャラを倒せばよい。
注意しなくてはならないのが、装備可能なウェポンすべてに発射回数の制限があること。回数は武器によって異なる。ミサイル系の武器では少なく、レールガンキャノンなどでは多い。また、ビーム系の武器をメインウェポンとして装備した場合は、エネルギーの自動回復で弾切れは起こさないが、連続使用するとエネルギーチャージが間に合わず、回復するまでパワーダウンするなどの制限がある。
自機の進行方向は上方、右方、前方の3通り。縦スクロール、横スクロール、後方視点の3種類の画面モードが用意され、ミッションが進行し、状況が変化するのに合わせて、次々と画面モードが切り替わる。
2回目のミッションからは、ブリーフィングとミッションの間に、メニュー画面が表示される。メニュー画面では、それまでのミッションで蓄えた所持金を使って装備を強化できる。購入できる装備は「雑貨」「兵器」の2種類。「雑貨」には、シェンレットの疲れを癒してくれる「くまのぬいぐるみ」や「クラシックCD」などがあるほか、グラビティ・ゼロの装甲を強化するさまざな処置を施してもらえる。「兵器」は、強力なビーム兵器である「レーザーキャノン」や装弾数の多い「レールガンキャノン」、ジャミングで敵誘導ミサイルを混乱させる「チャフディスペンサー」など。
ミッションとミッションの合間には、美しいグラフィックを使用したイベントシーンが用意されて、すべてのミッションをクリアすることで、ひとつのドラマが完成する。もはや普通の少女ではなくなってしまったシェンレットの、当たり前の日常を愛おしむ心情がひしひしと伝わってくる切ないドラマが展開される。