Vector： Voice Popper - 新着ソフトレビュー

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新着ソフトレビュー

2004.04.28

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Voice Popper
簡単な操作で使える、音声読み上げ対応の電子メールソフト

■Windows XP/2000/98　　■シェアウェア


	メールを選択すると本文の表示に切り替わり、読み上げを行う
	◎そのほかのスクリーンショットメニューはカーソルキーで選択。操作のたびにコマンド名を読み上げるオプション設定画面。読み上げのボリュームやスピードを調節できる

音声読み上げに対応した電子メールソフト。メール本文や操作コマンド、オンラインヘルプなどを日本語で読み上げてくれる。

「Voice Popper」は、主に視覚障碍者向けに作成された電子メールソフト。きめ細かな音声対応、キーボードによるシンプルな操作、ローマ字による日本語検索機能などで、初心者・視覚障碍者でも比較的簡単に使えるのが特徴だ。

メイン画面はフォルダツリーと、メール一覧/本文表示兼用の2ペイン。左ペインには、受信箱や送信箱などのフォルダが用意され、フォルダ内のメール数も表示される。右ペインは、操作に応じてメニューコマンド/メール一覧/メール本文などに切り替わる。右ペインのフォルダを選択する場合も、コマンド操作として左ペインで行うようになっている。

メニュー操作にはキーボードのカーソルキーを使用する。【↑】/【↓】でメニュー項目の選択、【→】でコマンドの実行（下位メニューがある場合は、そこに移動）というシンプルな操作。操作のたびに音声読み上げ機能がコマンド名を読み上げてくれるため、メニューが読めない方やキーボードの操作に支障がある方でも確実に操作できる。コマンド選択はショートカットキーで行うこともでき、スピーディな操作も可能だ。

メインメニューには「フォルダ選択」コマンドがあり、ユーザがフォルダを選択することで、右ペインがメニュー一覧からメール一覧に切り替わる。メール一覧でメールを選択すると、メールボックス内の番号とメールの件名、差出人などを読み上げてくれる。さらに、【→】キー/【Enter】キー（実行）により、メール本文を表示する仕組み。ヘッダ部からメール本文までを読み上げ、操作のすべての段階で読み上げをしてくれるようになっている。メール作成画面でも「送信」ボタンや宛先入力用テキストボックスなどにフォーカスが移るたびに、コマンド名やテキストボックス名を読み上げて教えてくれるほか、文字の入力や改行、キャレット（挿入ポインタ）の移動なども、操作内容を読み上げてくれる。

メールソフトの基本機能としては、マルチアカウントへの対応やメールの振り分け機能がある。振り分けルールは「差出人」「宛先」「件名」「本文」などを対象に、任意の文字列を「含む/含まない」「一致する/しない」「始まる/終わる」「正規表現にマッチする」などの条件を設定できる。検索では、【/】のワンキーでダイアログを呼び出せるほか、Migemoによるローマ字検索にも対応する（Migemo辞書ファイルが必要）。

そのほかオプションでは、

音声読み上げのスピードやピッチの指定
自動受信のインターバル設定
「Voice Popper」を標準のメールソフトとして使用するための設定
自動改行する桁位置の指定
弱視の方のためのフォントサイズや色の指定

などが可能。メンテナンス機能として、データのバックアップ/リストア、重複メールの削除機能などがある。動作には、日本語SAPI音声エンジン（「ProTALKER 97」が推されている）が必要。Migemo辞書ファイルの入手先などの詳細は、作者のホームページを参照のこと。

ソフトライブラリからのおすすめソフト

不要なアプリケーションを跡形なく消去できる、使いやすいアンインストール支援ソフト
「GeekUninstaller」

実際のフォルダ構造にかかわらずファイルをわかりやすく分類・管理し、すばやく参照できる
「dINDEX.2」

64bit OSに完全対応。ハンターモードの改善なども図られた“強力”アンインストーラの新バージョン
「Revo Uninstaller Free」

シンプルなデザイン、軽快な動作、カスタマイズ自由度の高さが特徴の高機能メディアプレイヤー
「RE PLAYER」

日付ごとの出来事や予定などを“1行文章”でサッと書き込めるカレンダー＋メモ帳ソフト
「出来事帳」

reviewer's EYE

視力に障碍を持つ人のために特別にデザインされているだけあって、操作のステップごとに読み上げを行ってくれたり、ほとんどの操作が【↑】/【↓】および【→】キーだけで行えるなどの配慮がされている。特に後者は、視力障碍者のみならず、手が不自由な方にとっても有効だろう。その一方で、ショートカット的な操作もかなり充実しているので、キータッチに慣れた方であれば、かなりスピーディな操作も可能だろう。

やや残念なのは、障碍を持つ方への配慮に集中するあまり、普通のユーザにとってはわかりにくくなってしまった部分があること。いかに視力障碍者に配慮したとはいえ、メールアカウントの登録をはじめとする初期の設定には、周りの人の手助けが必要という点を考えると、日常的な操作用のモードとは別に基本設定専用のモードがあってもよかったのではないかと感じた。

パソコンにあまり詳しくないヘルパーの方でも簡単にセットアップできるようになれば、このソフトの意義もよりいっそう深いものになると思う。

（福住護）

ソフト作者からひとこと

ソフトを開発しようと思った動機、背景
視覚障碍者でパソコンを使うことをためらっている方、諦めている方に「これなら使えるかも！」と思ってもらえるようなソフトを提供できたらいいなと思ったのが動機です。まだまだ視覚障碍者がパソコンをはじめるのは大きな困難をともなうのが現状ですし、視覚障碍を持つ方のうち、「ものすごい想像力と知恵と忍耐力」を兼ね備えた優秀な方のみが、いまパソコンを使ってらっしゃるという感じなのです。だから、もっと最初の敷居を低くしたい！　ATMやキオスク端末みたいに誰もが使えるようなソフトが存在していなければならない！　という信念をもって、さまざまな視覚障碍者向けソフトの開発に取り組んでいます。メール交換はパソコンを使う動機の最有力だと思いますから、まずメーラの開発に取り組みました。

開発中に苦労した点
「視覚障碍者でしかもパソコン初心者」向けのソフトのユーザインタフェースはどうあるべきか？　というところから試行錯誤しました。「タッチタイピングなんかできない。どのキーがどこにあるかもわからない」という方でも、とりあえず使いはじめられるように、最小限のキーを使い操作が単純明快であるように考えた結果、メニュー階層構造のソフトにたどり着きました。全盲の方の場合、操作の結果は音声だけですべて理解できるようにする必要がありますし、必然的にWindows標準のユーザインタフェースのソフトとはまったく違った作り方になりますので、ノウハウを学ぶのに苦労しました。

ユーザにお勧めする使い方
「パソコンは初めてでまったくわからない」という方はまず、初期設定だけをパソコンに詳しい方にやっていただいて、「お友達からのメールを受信して読む」というところからはじめてください。このソフトではメールを受信して読んで終了するだけなら四つのカーソルキーだけでできちゃうんですよ！　覚えることはすごく少ないのです。そのうちキーにも慣れてきたら、もっとほかの操作を覚えたり、ひらがなと句読点だけのメールを書いてみたりしてください。本ソフトはスクリーンリーダがなくても使えますし経済的にも楽にはじめられると思いますので、ぜひ挑戦してみてください！

今後のバージョンアップ予定
高機能化よりもまず、初心者ユーザさんの声をお聞きして、使いはじめの敷居の低いソフトにすることが先決だと思っています。それがある程度達成されてから、パワーユーザさんにも納得していただけるものに仕上げていきたいです。

（桂木範）