漢字の読み仮名を表示してくれるソフトと聞いて、筆者は何に使うのか一瞬ピンと来なかった。しかし数日使ってみて、かなりいろいろな使い道があることが体感できた。使い方は簡単で、クリップボードに文字列をコピーすれば、読み仮名を一覧表示してくれる。他のソフトから使うことが前提なので、再変換結果のウィンドウを前面に表示させておくこともできるし、クリックまたはショートカットキーで呼び出すこともできる。結果の読み仮名は【Enter】キーかマウスクリックでクリップボードにコピーできるから、他のアプリケーションに持っていくのも簡単だ。IMEの機能を使っているので、その設定さえ気をつければインストールするだけで、すぐに使うことができる。
さて、読み仮名が必要なのはどんなときだろう。まず純粋に読みが知りたい場合だが、難読の代表である地名は、現地に電話したときに間違わずにすむ。仕事でもレジャーでも問い合わせの連絡をすることはよくあるし、読み間違いに近い発音の地名が近くにあることも結構あるのだ。
次に、よそから来たデータの間違い探し。誤字脱字変換ミスはデータチェックには付き物だが、「はて、この原文は何?」と考え込んでしまうことがたまにある。その分野が専門ならば予想がつくものでも、部外者がデータ処理をしていると悩んでしまう。こんなとき、読みに直して調節しながら辞書をひくと、なるほどこんな意味だったのかということがある。
そして、本命はやはり読み仮名を大量に作るとき。筆者も以前に千件単位のデータに読み仮名を追加したことがあるが、再変換できるとはいえ数十件でうんざりしてしまうものだ。あのとき、このソフトが手元にあったら、と激しく後悔してしまった。
それからもう一つ、レイアウトでフォントサイズが規定されているWebサイトを見ているとき、潰れて読みにくい文字を拡大するのにも便利だった。普段高めの解像度でパソコンを使っている人には便利だと思う。
陰ながらお手伝いしてくれるアシストソフトは、困った状況に陥ったときの強力な味方になってくれる。一度手に入れて、使い勝手を知っておくことをお勧めしたい。筆者のように、あとから気がついて悔やまないように……。
(呉 真)