主人公「拓真」は、大手建設会社「大城コーポレーション」の御曹司。大学4年生だが、生まれたときから次期社長に指名されているので、就職活動とは無縁の生活を送っている。現在、拓真の父親が開発を目指しているのは、自然豊かな「美星島」。一緒に現地を訪れた拓真は、会社と現地住民との対立を目のあたりにする……という状況から物語が展開していく。

舞台となる美星島は、珊瑚に囲まれ、島民のほとんどが漁師という自然豊かな離島。この島には、「『守り主様』という人魚が島を守っている」という伝説がある。メインストーリーでは、この人魚の伝承がポイント。選択する行動により、さまざまな方向に話が展開する。島の開発をかけて事件が起こるシリアスなストーリーだけでなく、婚約者と島へ遊びに行くコメディタッチの話や、謎の男が登場するサスペンス風の物語なども用意されている。

操作は、マウスクリックまたはホイールの回転で行える。登場人物や風景を背景にしたテキストを読み進み、状況に応じて選択肢を選ぶ。ホイールの逆回転で、既読メッセージを再表示させることも可能。次の選択肢や未読まで一気にテキストを進めるスキップメニューも装備している。画面上のテキストを消して、グラフィックだけを楽しむといったこともできる。ゲームの途中までをセーブすることも可能だ。

メインストーリーは環境問題を軸としたシリアスな話だが、コメディや宝探しなど、さまざまなストーリー展開が用意されているのが「Twinkle Little Star」の魅力だ。「すべてのストーリーを読んで、はじめて島の謎が解ける」といった、相互に関係のあるシナリオではないので、それぞれ独立した話として楽しむことができる。

選択するストーリーによって、いろいろと状況が変わるものの、登場人物の基本的な性格は変わらない。クールな都会派の主人公や、単細胞ながら島を深く愛する島民、明るくて天真爛漫だが実は鋭い観察力を持っている婚約者など、各人にきちんとした個性を持たせることで、数あるストーリーを無駄のないものに仕上げている。

既読メッセージのスキップや巻き戻し、CG鑑賞モードなど、「画像＋ノベル」系のゲームでは必須といえる機能を、フリーソフトで装備しているのも見逃せないポイントだ。同じ文章を何度も読みかえす煩わしさが解消されると、すべてのCGを埋めたくなるはず。さまざまな選択肢を試して、すべてのストーリーを制覇しよう。

落ち着いた雰囲気の巫女さんや、ミニスカートの女警察官など、個性的なキャラクタがこれでもかというほど登場する。プレイする人を最後まで飽きさせない秀作といえる。

開発中に苦労した点
自分の文章力との戦いでした。掌編小説すら書いたことがなかったので、どうしたらうまい文章が書けるかとずいぶん悩みましたが、「どうせプロのシナリオライターには勝てない」と開き直りました。結果、変に文学的にならず、読みやすさを重視した文章になり、まあよかったかなと思っています。

今後のバージョンアップ予定
主に誤字・脱字潰しになると思います。そのようなものを発見したら、こちらまでご報告いただければ幸いです。