短い時間でサクサクと遊べるアドベンチャーゲーム。ゲーム前半はデジタルノベル調ではじまり、後半からはキャラを動かしながら謎を解く2部構成になっている。「水護墓(みずもりはか)」は、大阪府堺市にある百舌鳥古墳群(もずこふんぐん)の謎を解くアドベンチャーゲーム。プレイヤーは大阪地学協会の補助研究員である松田を操り、女性地質学研究員の今岡とともに百舌鳥古墳の地質調査に訪れることになる。しかし、そこである行動を起こしたために落盤事故に巻き込まれ、地下深くの古代遺跡へと落とされてしまう。遺跡の入口は頭上高くにあり、上ることは無理。そこで二人は遺跡の奥を調査し、遺跡からの脱出を試みる……というのがストーリーだ。
二人が落ちた遺跡は迷路状に入り組んでおり、さらに仕掛け扉や、道を塞ぐ石、パズルのように並べられた石版、謎の文字など、さまざまな仕掛けが用意されている。出口にたどり着くためには、遺跡内のアイテムなどを駆使しながら、これらのパズルを解き明かさないとならない。ただし、どうしても謎を解けない場合は、「話しかける」や「考える」といったメニューコマンドを使って、今岡に話しかけたり、状況を考えたりすることで活路が開けることもある。
遺跡に落ちるまでの前半部分は、写真画像に文字が表示されるサウンドノベル形式、後半の遺跡の探検部分は実際にキャラを操作してのアドベンチャー形式になっている。そのため、1回のプレイでいろいろなおもしろさを追求できる。また、エンディングは自分が選択した行動などにより変化するマルチエンディング。パズルに慣れていれば、1回のプレイは30分程度で終了できるので、用意されているエンディング全部をコンプリートするのもよいだろう。
ただし、「水護墓」のおもしろさはパズルの解明だけではない。遺跡に落とされておびえる常識人の松田と、遺跡に落とされても調査を忘れず、現実的で強引な今岡の会話もおもしろさのひとつだ。また、さまざまな伏線が張られた物語を楽しむなど、ノベルとしてのおもしろさも十分味わえる。