「PenFun」は小さな子どもでも簡単にお絵かきを楽しめる、シンプルなペイントソフト。主要な描画ツールは大きなアイコンで表示され、わかりやすい。キャンバス上をクリックすると効果音が流れるなど、子どもが楽しみながら絵を描けるように工夫されている。

主な描画ツールは画面左に縦に並び、さらに画面上部のツールバーからブラシ形状を選択できる。ツールは直線や矩形などの基本的な図形を描くものや、スプレー、ペイント缶など、さまざまな模様を描くツールが揃っているのが特徴。キャンバス上をワンクリックするだけで花びらのような幾何学的なパターンを描くもの、同じくワンクリックで渦巻き状のパターンを描くもの、マウスをドラッグした軌跡に沿って模様を並べていくもの、ランダムに線を引いたり矩形や円を並べていったりするものなど、バリエーションが豊富だ。

テキストツールでは、数字やアルファベットをランダムに並べたり、クリックするたびにあらかじめ用意されたテキストファイルから1文字ずつ並べたりといったことができる。変わったところでは、マウスの軌跡を鏡に映したように反対側に線を引く「鏡ふで」のようなツールもある。

色は30色の色鉛筆アイコンから選択することが可能で、輪郭線と塗りつぶしにそれぞれ別の色を割り当てられる。カラーピッカー（スポイトツール）を使って、キャンバス上の色を拾うこともできる。

その分だけ小さな子どもでも使いやすいが、かといってあらかじめ用意されたスタンプを押していくだけといったものとも違い、線の太さを変えたり、グラデーションを設定したりして、バリエーションを楽しめるところが特徴だ。用意されているパターンも動物や花の絵といった具象性のあるものではなく、もっと幾何学的なので、ターゲット層としては、幼児段階を脱してより創造性を発揮しはじめる時期の子どもではないかと思う（逆に幼児向けと考えると、効果音のバリエーションなどがもっとあってもいいところだ）。

もうひとつの特徴は、Windows的なユーザインタフェースをあえて（?）残しているという点だ。ツールアイコンのデザインや色鉛筆型のカラーパレットなどは、確かに子ども向けを意識したわかりやすいものだが、その一方でブラシの切り替えや線の太さを選択する部分にはスピンボタンが使われているし、書体や文字の大きさを変えるにはフォントやサイズなどのメニューコマンドを使わなければならない。ウィンドウ自体も簡単に使えるフルスクリーンではなく、オーソドックスなオーバーラッピングウィンドウなので、タスク（ウィンドウ）の切り替えといった概念も自然と学ぶことになるだろう。そういう意味では、Windowsの基本操作を子どもに学ばせるためのソフトとしてもなかなかお奨めではないだろうか。

ウィンドウはSDIタイプだが、画像の新規作成コマンドはなく、描いたらいったん全部消して、あらためて描くという形になる。また画像の保存は可能だが開くコマンドはない、といった制限がある。

一点だけ改善をお願いしたいのは、ファイル保存形式の表記法だ。保存時のファイル形式は「image/x-macpaint」となっていて、実際に保存してみると「ファイル名.pict.bmp」という形になる。これではわかりにくいので、早急な対応をお願いしたいところだ。

しかし、子ども用・教育用ソフトは儲からないのか、一時の隆盛はどこへやら、小さな子どもが安心して遊べるソフトが少なくなってきているのではと感じています。私の子どもたちを育ててくれた恩返しに、これからコンピュータを使おうとする子どもたちが親子で楽しめるソフトを作ろうと思ったのが、このソフトの開発の動機です。

開発中に苦労した点
MS-DOS→Macintosh→Windowsと、さまざまなプラットホームで動作するバージョンを開発してきました。そのため、OSの違いが開発で最も苦労した点です。現在は、Macintosh上で動作するREALbasicで開発しています。REALbasicでは、一つのソースでMacintosh、Windows両方のソフトを作成できるという利点があります。しかし、「PenFun」開発当初は、まだREALbasic自体が発展途上で、Windows版の作成にはかなり苦労しました。このVer.2.7でようやくMacintosh版とWindows版の機能がほぼ一致しました。

いろいろな変わり絵筆のアルゴリズムは、昔買い集めたN88-BASICの書籍などを参考にしました。模様を一つひとつプログラミングする作業は、苦労というより楽しい作業であり、その楽しさがあったからこそ、このソフトがここまで成長してきたのだと思います。

ユーザにお勧めする使い方
小さな子どもでも使えるようにインタフェースを工夫してあるので、落書き感覚で自由にクリックしてみましょう。お母さんやお父さんはわが子を膝の上に乗せて、一緒にお絵かきを楽しんでください。文字ツールを利用すれば、オリジナリティあふれる年賀状やグリーティングカードなどを作成することもできます。

今後のバージョンアップ予定
開発環境がMac OS Xになりました。アクアインタフェースを生かしたメジャーアップデートができないか検討中です。絵筆の追加や描画キャンバスサイズの変更などを予定しています。

「PenFun」は、子どものためのFunシリーズの中の一つです。私のホームページに「ColorFun」「TileFun」「LunchFun」をアップしています。すべてについて、Macintosh版とWindows版があるわけではありませんが、興味のある方は来頁してみてください。